株式会社 新生活研究社
 「健康生活ニュース」 1991年1月25日発行
こだわりの化粧品作りを
 化粧品はメイクが一番だという。基礎化粧品はメイクを引き立てるための下地を作るためのものという考え方が根底にある。したがって、化粧品は基礎からメイクまで一貫した方針の下で作るべきだと考えている。
 大手化粧品メーカーでは基礎からメイクまでのシリーズを発売することがあるが、実際の製造元はいくつもの下請け会社に分かれたり、同じ研究所で開発したものでも各製品ごとに専門の技術者が異なるなど、商品間の一貫性を保つことはなかなか難しいのが現状。技術者間の交流がないことが化粧品としてのベースの不統一を生み出しているという。個々の化粧品はもちろん厚生省が安全性を認めた成分によって作られているのが、ベースを考えずに組み合わされることによって、肌に問題を起こすこともある。
 コスメティック・アイーダの「レチエ」は技術者でもある会田氏が、一貫して製作に携わり、多少割高になっても高価な原料をふんだんに使うという、ベースにこだわったから最も良いものを厳選している。こだわりは原料だけではない。乳化を壊さないように瓶詰めも充填器は使わず、全て手作業という徹底ぶりだ。
 化粧品作りは基本的には科学の領域だが、一流の科学者がいい化粧品を作れるかというとそうではない。感性が重要な要素になるという。同じ青をつくる場合でも、色紙と比較したり、青の何番というような機械的な色作りはダメで、きれいな海を思い浮かべながらその色を作り出すといった感覚が必要なのだという。化粧品作りはまさにロマンの世界なのである。
大学を出たあとカネボウの研究所に入り、大手企業の化粧品作りを根本から身に付けた。七年ほど携わったあと、化粧品の下請け会社に入社。
 大手企業のときは、いわゆる企業論理で製品が歪められる現状を身をもって体験し、下請け企業のときは、ものの善し悪しを抜きにして要求されるままに製品作りをしなくてはならないという経験を強いられた。どちらも技術者としての良心に関わりなく仕事を進めなければならなかったのが辛かったという。化粧品作りの両面を体験するなかで、自分なりの化粧品を作りたいという気持ちを押え切れずに独立した。
 さまざまな添加物を混入しながらコマーシャルベースで肌の健康促進をうたった化粧品が出回っているが、化粧品は本来、肌に負担がかかるということを認めたところからスタートするべきであり、そのうえでどれだけリスクを少なくしていくかが化粧品を作る人間のモラルだとする。